とにかくこれはよく聞かれる。
他のウクライナ人の知り合いからも、よく聞かれると聞く。
真っ先の反応は、「ウクライナ派」、である。
ロシアもヨーロッパも、あまり関係ない。
いや、その二つの間に板挟みになっているのはわかっているのだけど。
もともとは、どっちか片方を選ばなきゃならないのかよ、って思っていた。
去年の11月に始まった反政府抗議は確かに、EU連結協定の取りやめが原因だった。
その時点でわたしは懐疑的だった。「それでよかったかもじゃん」と思って。
ただ、11月30日、数百人のデモ隊に対して、警察が許せないほどの暴力を振るった。
それ以来、EU連結はともかくとして、「国民をなめんな!」というのが抗議の主な主張となった。
そこは、未だ日本で気づいてもらえていない気がする。
個人的にいえば、少し前までのロシアは、とりわけ好きでもなかったけど、別に嫌いでもなく。
ただ、自分はロシア人ではなく、ウクライナ人である、その認識だけはあった。
(血統的に言うと、ウクライナ人の血はたぶん入っていないとは思うけど。
半分は朝鮮系、後はロシアとかポーランドとか、オーストリアとか、
たぶん、ユダヤ系もどこか混じっているかと。)
なんだろう……被害妄想かもしれないけど、
一部のロシア人はウクライナ人に対してものすごく上から目線なのだ。
「ウクライナなんて国じゃない、地方だ」と言ったり。
「ウクライナ語はロシア語の方言にすぎない」と言ったり。
そう言われて快く思うわけあるまい。
ただでさえ、大国の人たちには「ウクライナ人です」って言っても、
気がつくと「ロシアだと、○○とかどうなの?」と聞かれるわけで。
「そのー、ロシアじゃなくてウクライナなんですけど。」
「えっ、何が違うの?」
「……国が?」
「うーん、よくわからない。」
いやいや、わかってくださいよ、そこは。
「えっ、ロシアとウクライナって○○が違うの?」
ロシアの日常は経験したことないから比較もできないのよ、だから。
それはまぁ、いいとして。
とにかく、できることならロシアとは一緒になりたくなかった。
別物なのだから、感覚でしか言えないけど。
最近のロシアは、ロシア正教以外の宗教に対して迫害チックになったり、
同性愛者を犯罪者扱いしたりするし。
何かと面倒くさそう。
ヨーロッパはヨーロッパで、EUに加盟したら経済的にいろいろ大変そうである。
いちいちビザを取らなくてもいろんなところ行けるようになるから
EUになるといいなとは思っていたけど、日本でぐうたらしている自分が
ウクライナに残ったみんなにその大変さを背負わせる資格ないし。
できることなら、ロシアとも程よい距離を置き、
EUにも加盟せず、地味に存続してほしかったけど。
というか、政権が崩壊しても、暫定政権は真っ先に
「ロシアとの関係は友好関係のまま保ちたい」と確言していた記憶がある。
が、自力ではロシアに歯向かえないウクライナは、
結果として超スピードでヨーロッパに向かって走っている。
ここ3カ月でヨーロッパが自由貿易ゾーンを開いてくれたり、
資金を貸してくれたりして、来年までにはビザも排除されるかもしれない。
ヨーロッパ・アメリカは別に、ウクライナがかわいくて
いろいろ協力しているわけではないことくらいはわかっとる。
ウクライナなんて、でかい田舎のような、
経済的にも武力的にも力あまりないけど絶妙な位置にあるから、
どうしても大国に振り回されてしまう。
それが避けられないのであれば、
ロシアに拘束されるくらいなら、
ヨーロッパに付いた方が、マシ。
その選択を強いられるのはすごく悔しいけど。
みんなはただ、他人に干渉されんと、
自分の土地で平和に生きたいだけなのに、ね。
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